つるちゃんとかめこ
重い認知症になったつるちゃんは、娘のかめこを「お母さん」と呼びます。 かめこの愛と工夫に満ちたケアが、きょうも、つるちゃんの心に届きます。
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夫の死を知る日
2005年3月26日。
夕食の仕度をしていた、かめこのところへ、
つるちゃんが、近づいてきた。
どうやら話があるみたい。



主人は、どこですか。


それは、
つるちゃんが夫を亡くしてから、あと1週間で、丸4年になろうと言う日だった。



つるちゃんの問いかけは、唐突だった。
その真剣な眼差しを見て、かめこは緊張した。



四郎さん  (仮。父は4男なので) のことですか 


はい。





かめこは、黙ったまま、
つるちゃんの手を引いて、
いつもは入れないようにしてある、奥の和室に連れて行った。
その部屋の、続きの小さな洋間の整理ダンスの上に、
仏壇が置いてあって、

仏壇の後ろの壁には、父の遺影がかけてある。


かめこは、つるちゃんを仏壇の前に立たせ、
遺影を指して、言った。



あれがなんだか、分かりますか 



・・・はい。



つるちゃんは、涙を浮かべていた。
全てを悟った顔だった。


そして、静かに、ゆっくり、つぶやいた。




知らなかった。かわいそうに。



かめこは、黙ったまま、仏壇のろうそくに火を点し、線香をろうそくに傾けた。

そして、
左手でつるちゃんの手をつなぎ、
もう片方の手で、
仏壇に線香を供えた。


つるちゃんは、泣き続けていた。





それから、かめこは、
仏壇のある小さな洋間を占領してる、ソファーに、つるちゃんを座らせた。

そして、自分も隣に座り、
気持ちに、とても力を込めて、
でも静かに、
つるちゃんに話し始めた。



四郎さんは亡くなったけど、
今は、私たちがいつも側についているから、
大丈夫。
安心してください。


と。


心を込めて、丁寧に、同じことを繰り返し話した。



つるちゃんは、直ぐに泣きやんだ。
そして、
かめこの言葉の
一つ一つに頷いてくれた。



今は、もう、夫はいないけど、
家族がついている、手伝ってくれる人もたくさんいる、 


そのことを、
分かってくれた。


かめこの言葉は、全て、つるちゃんの心に届いていた。




夫の死を知った、この母を、支えることができた。

私は、それがしたくて、ここに越してきたんだ。

涙があふれた。 





その日を境に、
つるちゃんは、夫を亡くしたことを、理解するようになった、


わけでは、


実は、ない。




その後も、
アルバムの夫の写真を見て、知らない人だということは、多かった。


誰だか分かる時もある、と言う風だった。




その、つるちゃんが、かめこから見て、
今度こそ、
本当に、心から、夫の死を受け入れたと思える日が、
やってくる。

[テーマ:認知症の介護 | ジャンル:福祉・ボランティア]

【2007/04/03 11:53】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(20) |
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コメント
v-375
(。;___;。)フルフルフルフル
【2007/04/03 13:24】 URL | ウルル #L1ch7n1I[ 編集]
i-281momiji1021

そうでしたか。
やはり、続く・・・ですね。

主人はどこですか?
かめこさんは緊張したと書いてありまた。
私は、もう、ドキン!です。
私だったら、かめこさんのように、落ち着いて、なおかつ、強く言葉を選ぶことが出来るだろーか。

かめこさんの言葉がつるちゃんに届いて、つるちゃんは理解した・・・はずだけど、違った。
瞬間は理解しても忘れてしまうんでしょうか。そして、お仏壇の写真を見て、思い出す日もあれば、分からない日もあった・・・のですね。
そういうものなのでしょうか。

これを読んでいて思いました。
もし、ジージと母が逆だったら・・・・・と。
ジージだったら、
「かーやんは?」
と、1日に何度でも聞かれる気がします。

そのつるちゃんが、なぜ、心から理解するようになったのか・・・・

楽しみです。


【2007/04/03 13:30】 URL | momiji1021 #-[ 編集]
e-365より、v-375ウルルさんへ 
いつか、必ず、つるちゃんの、心の奥底に閉じ込めてしまった、夫の存在を、意識させる。
それが、この世界で、私たちと共に生きる、ということだから。

でも、無理はしない。
つるちゃんのペースで。

父が亡くなってから、4年間、そう思い続けてました。
心の準備はできてた。
だから、この日の自分の対応に、悔いはありません。
【2007/04/03 13:51】 URL | ウルルさんへ #/Amn5WiM[ 編集]
e-365より、i-281mmiji1021さんへ
違ってはいないの。
この日初めて、
つるちゃんは、夫が亡くなったことを、知ったんです。
そして、今は、家族が居て、支えていることを、理解してくれました。

見ても、
思い出さない写真、というのは、仏壇の、ではなくて、
小さいアルバムの中の姿です。(このあと加筆します。)
夫について意識してない時に、仏壇の前に連れて行くことは、なかったです。

この2年前の3月26日の前と後とでは、
つるちゃんの世界は、全然違うと思います。
ただ、事故の記憶喪失が回復するみたいに、
この日、完全に記憶が戻った、というわけでは、ありませんでした。
それは、
つるちゃんにとって、まだ時間が必要だった、
ということだと、思います。
【2007/04/03 14:14】 URL | momiji1021さんへ #/Amn5WiM[ 編集]
v-22です。
v-409。。。。
まだ 『完結』ではないんですねv-361
次が早く読みたくなりました。
【2007/04/03 14:18】 URL | キバっち #-[ 編集]
e-365より、v-22キバっちへ
去年書いてたら、エンジ部分まで、でしたね。
【2007/04/03 15:00】 URL | キバっちへ #/Amn5WiM[ 編集]
v-516
なんだか言葉もみつからない。
よひょうさま(ごめんなさい、私の中の四郎様)
きっと暖かく優しく見守ってることでしょうね。
【2007/04/03 16:11】 URL | みつこ #mQop/nM.[ 編集]
e-365より、v-516みつこさんへ
今まで、ずっとそちらに居ました。
きのう行って時は、言葉が見つからなくて、すご引き返して来ました。
今だって、何度も消して書き直した。

父はね、温厚そのものの人でした。 (それでも、つるちゃんに怒鳴ってた。)
戒名は、温徳四郎・・・・って言うんだよ。
で、その最後のコメントは、次の記事には、もっとピッタリだと思います。v-410
【2007/04/03 17:08】 URL | みつこさんへ #/Amn5WiM[ 編集]
v-518
人の心というものは、本当に、奥深く不思議なものですね。
心が、ついていけない出来事に、きっと、
その時のつるちゃんにとって、最善の方法が、
忘却。
なかったことにする。だったんでしょう。
そして、少しずつ、心の傷が死に耐えられるくらいに
回復したと言うことではないでしょうか。
ゆっくりゆっくり、少しずつ。
心が時間をかけてもとのつるちゃんに戻っていく。
そんな、作業をしているのかもしれませんね。
【2007/04/03 20:26】 URL | SATOKO #J7K/fbQw[ 編集]
つやちゃんは、死んだじいちゃん、ばあちゃんは何処と聞いてきます。

私が疲れ果てていたとき、こう聞かれ、「40年以上も前に死んだ!」と叫んでしまいました。

それを聞いて、「可哀想に、あんなに苦労したのに。。。」と涙を流して。。。

それ以来、「じいちゃん、ばあちゃんは何処?」と聞かれると、「京都に行って、本願寺さんお参りしている」と答える様にしています。時には「お母さんが笑ってくらせますようにって、お祈りしに行った」と言うと、嬉しそうな顔をします。。。

ちょっとした、作り話ですが、それで母が納得して笑顔になるのならと思っています。
【2007/04/03 22:06】 URL | あしたがあるさ #-[ 編集]
e-365より、v-518SATOKOさんへ
ああ、そうか。
なかったことにする、というのだったら、
それは亡くなる前日に、具合が悪くなった時点、病院に向かった時点まで、さかのぼります。
うん、そうだ。
つるちゃんの時は、そこで止まっていたわ。
そして、夫の死は体験してない、そんな気がします。

次の記事で話すことなんだけど、
つるちゃんは、夫に代わるものを見つけられた時、
それがあれば、病気の自分も生きていかれる、と思えた時に、
こちらの世界に戻ってこられるのだと、思います。
健康な人なら、自分自身の傷がいえる時、のところだけど。
自分は、一人では生きられないことを知っていたので、
夫が居ない状態は、生きていかれない、から、
認識できなかったのだろうと、思います。
【2007/04/03 23:18】 URL | SATOKOさんへ #u6i4c2k.[ 編集]
e-365より、v-212あしたがあるささんへ
様々な形の認知症があり、介護も百人百様。
つやちゃんには、今のあしたさんのやり方が、もちろん、最上なのだと思います。

私の場合は、つるちゃんに、辛いこともある、この世界で生き抜いてほしいと思っています。
それは、認知症になった母の世界を否定しているわけではありません。
私の母は、乗り越えられる人だと、信じているのです。
私には、支え切れるとも思っていますし。
(お返事どう書いたらいいか難しくて、何度も書き直してしまいました。)
【2007/04/03 23:38】 URL | あしたがあるささんへ #u6i4c2k.[ 編集]
v-20
切ないけれど、とても温かい気持ちになりました。
涙が溢れてきて止まりません。
【2007/04/04 13:38】 URL | yell #rI2kGhSA[ 編集]
e-365より、v-20yell姫へ
この時のことは、とてもよく覚えています。
つるちゃんの、声の調子もね。
コメントくださって、どうもありがとう。
【2007/04/04 16:12】 URL | yell姫へ #/Amn5WiM[ 編集]
v-119そうなんですか。
あと1週間で4年にならんとして
つるちゃんはごしゅじんのこと思い出したんですか。

脳の回路って面白いですね。
本当にまだらにいろんなことが起こります。

ふーんと。。後半部分思いました。
代わりになるものを見つけられたときこちらに戻る。。


【2007/04/04 18:23】 URL | さくら #-[ 編集]
e-365より、v-119さくらさんへ
そうなの。
写真見ても誰だか分からない状態を、ほぼ4年間過ごして、突然。
かめこには、つるちゃんの中の何かが、
夫がいなくても生きられる、と感じられたから、思い出したのだと思えるのです。
こちらに戻る、と表現しましたが。

脳の仕組みが、自分を守るように、できているんでしょうね。
不思議です。
【2007/04/04 22:34】 URL | さくらさんへ #/Amn5WiM[ 編集]
v-221
今回のつるちゃんの件で改めて思いました。
認知症の記憶障害って判断が難しい。
認知症のせいなのか?
現実に耐え切れず封じ込めてしまうのか?
両方の場合があるような?

今日から母がほぼ1年ぶりにデイ(通所リハ)再開。
幼馴染の開業医に紹介してもらって3月から訪問診療開始、そこに併設されてる施設です。
とは言っても、今までと比べて特別な違いはありません。
ただ一つ、白衣姿(これに母は弱い)の職員もいます。
駄目元での再開です。
私の負担を別にして、家族の中だけで過ごすことが母にとって良いのか?
前々から思い悩んでいました。
今日は帰るまで何時、電話が?と気がかりです。

4月1日、弟、妹、妹の長女の助けを借りて2年ぶりに一泊旅行。
朝までトイレの訴えもなく、朝起きたら、「気持ちが良い。」
こんなこと、今までなかったような?これだけでも良かった。
【2007/04/05 09:43】 URL | ひろや #Y4ecaAXY[ 編集]
e-365より、v-221ひろやさんへ
まぁ、ご旅行にいらしたのね?羨ましいです!
うちは、5年半前位かなぁ。
つるちゃんとかめこの、最初で最後の母子旅行は。。。

お母さま、ご気分良かったのね。
夜中もぐっすりお休みになられて、朝のお目覚めも最高で。
いらして、本当に良かったですね!

そして、デイに挑戦されているとのこと。
ほんと、きょうは、ドキドキ、落ち着きませんね。

デイの役割って、本来、家族の休養の為だけなくて、
本人の気分転換とか楽しみの為、という意味合いが大きいのだと思います。
つるちゃんの場合は、元々社交的ではない人なのに、
ケアマネは、デイに行くことが、好きな人だと思うと、予測してました。
実際、慣れたら、いい刺激になるようで、帰ってからも調子がいいです。

お好きでない方、抵抗ある方も、もちろんいらしゃると思うし、
スタッフの手が足りなくて、我慢を強いられると言うお話も聞きますが、
できることなら、家以外の場所にも、お母さまの世界を作れると、いいですね。
今度のところとは、良い出会いのようだから、希望が持てますね。

駄目元のチャレンジが、どうぞうまく行きますように。
【2007/04/05 15:28】 URL | ひろやさんへ #/Amn5WiM[ 編集]
v-254この日を迎えるかめちゃんの覚悟。
ずっと想い続けていたからこその言葉や行動。
記事を読んで今 すごくドキドキしてます。

かめちゃんと出会えて本当に良かった。
つるちゃんの側にかめちゃんがいて本当に良かった。
【2007/04/06 12:29】 URL | 海空ママ #n5wo/zCo[ 編集]
e-365より、v-254海空ママさんへ
揺らぐことのないものが、自分の中に、ありました。

海空ママさんという、本当に分かってくれる人に出会えて、かめこは、幸せです。
【2007/04/06 15:31】 URL | 海空ママさんへ #u6i4c2k.[ 編集]
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プロフィール

かめこ

Author:かめこ
つるちゃんは、症状が出てから12年。
現在81歳。要介護5です。
家族は、つるちゃん・かめこ・かめこの夫
孫ミニーとデイジーは共に結婚して別居。
かめこは、乳がん手術を体験しています。
体力は無いけど、命の重さと自由の尊さを
知ってる人だと思います。

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