つるちゃんとかめこ
重い認知症になったつるちゃんは、娘のかめこを「お母さん」と呼びます。 かめこの愛と工夫に満ちたケアが、きょうも、つるちゃんの心に届きます。
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終末期の生き方:本人と家族の意思
つるちゃんが 急に食べられなくなったのは、おととし2008年の秋。
極端な状態が治まっても、
【ミキサーにかけた食事】や 卵豆腐のような物でないと飲み込めなくなった。
その直前まで、お寺ではお蕎麦を食べていたほどだったのに。


栄養補助として、エンシュアリキッドが処方され、
10月22日には、内科かかりつけ医のキューピー先生が、
「今後の話」として、
「食べられなくなったら、
 ①鼻からチューブを入れる ②胃ろう という手段もあるが、どうするか、
 兄弟の意見も聞くように」
と、話された。

かめこは、
「【胃ろう】も【鼻チューブ】もしない」 と、返事をし、
弟も、「かめこさんの思うとおりでいい」と言ってくれた。



つるちゃんの終末期については、
かめこは、それまでも、想像できる限りイメージしようとした。

そして、
「本人にとって、無理が少ないのは、
【口から食べられることが難しくなったら、他の手段で栄養を摂ることはしない】
ことなんだろう」 

と 考えていたから、
その時点で、迷いはなかった。

それで、自分の気持ちについては即答した。



もちろん、弟の気持ちも、大事にしたい。
そして、
何といっても、
本来ならば、
一番尊重しなくてはいけないのは、【つるちゃんの意思】だ。


そのことは、
つるちゃんが 認知症(当時は「痴ほう症」)だろうと、確信した時点から、
かめこが考えていたことだ。

何も【つるちゃんが、自分の終末期にどうしたいか】だけを、
ことさら取り上げて、尊重したいと思ったわけではない。

認知症になり、
自分で自分のことができなくなり、
自分の意思を、人に伝えられなくなるだろう 母が、

これから どう生きていきたいのか、
本人の意思を、できる限り尊重していきたいと思った。

そして、
そのために、今のうちに、
本人の意思を知りたいと思った。




将来についてだけ、話題にしてもイメージできないだろうし、
わざとらしく聞けるわけもないから、

まずは、子どもの頃のこととか、
かめこの知ってる お母さんの言動が、
そのとき、どう考えたからのものだ、とか、
とにかく、話を聴きまくった。

1年ほどして、
父が、母がおかしいことに気づき、
かめこが、週に2回 定期的に通うことになるまでも、
同じくらい通って、
つるちゃんの話を聴きだした。
家系図なんてものも、作った。



その頃、つるちゃんから得た【情報】は、
その後、つるちゃんと暮らして行く上で、とても役に立った。
【手がかり】が たくさんあることで、
認知症特有の わかりにくい言動からも、
つるちゃんの気持ちが想像できることが多かったし、 
その時々、具体的にどうすればいいか、考えつく場面もたくさんあった。
あの頃、聴いておいて、本当に良かった。



ただ、
「終末期について どう考えているか」 の【手がかり】は、
その頃や、それまでの つるちゃんの話の中では、
「あまり苦しむのは かわいそうね」
というような感想くらいか。

つるちゃんが、もともと持っていた価値観とか、考え方とかからも、
はっきりとした【意思】を汲み取ることはできていない。



だけどね、
つるちゃんと一緒に暮らして感じたことなんだけど、


いつの頃からか、
それは もしかすると かめこが赤ちゃんの頃からなんだろうけど、


つるちゃんは、
自分がどうしたいか、より、
かめこがどうしたいか、を、考えていて、

かめこの考えるとおりにしたい、それが一番うれしいと
思っているみたいなんだ。



だから、かめこの見るところ、

つるちゃん本人の意思は、
「かめこが そうしたいこと が一番いいです」

なんだと思う。





さて、
先々週、つるちゃんの入院先の主治医より、かめこは、

現段階の話として、
① 胃ろう
② 鼻からチューブ
③ 今までどおり、高濃度点滴を続ける

という、3つの選択肢を提示された。


それは、
その時点では、
「そろそろ食事をはじめる時期だけど、かめこが 食事介助に行かれない」
ということから出た 選択肢だった。

つまり、この時点では、
【食事再開の目途が立たない状態での選択肢】ということになるだろう。



その時、かめこは、

おととしの秋に、かかりつけ医から【胃ろう】と【鼻チューブ】について、
 話が出たときには、
 『しない』と 答えました。

  弟も それでいいと言っていました。

 だけど、その時は、
 『母が口から食べられるように 私が努力する』
 という前提があって、言ったことだと思うんです。
 でも、 今は、それ(食事介助)ができないから、
 気持ちは それだけでないように思います

と答えた。



つるちゃんが口から食べられるように、かめこが努力を続けて、
つるちゃんが、がんばって食べる努力を続けてくれて、
それでも、いつか食べられなくなったときには、
つるちゃんに、
もう がんばらなくていいよ、って言いたい。



かめこは、そう、ずっと思ってきた。



かめこの考える 【自然な死】 というのは、

【本人が、精一杯生き抜いて、
それ以上は無理させられることなく 迎える死】 


ということだから。



そして、
つるちゃんは、
これまでも、肺炎になってからも、とてもとてもがんばってきた。
認知症を抱えながら、精一杯生きてきた。
もちろん、食べることについてのみならず。



だけど、
かめこは、自分が何もできないままでは、
「もういい」って、言えない気持ちだったんだ。





さて、
先々週、主治医は、
かめこの「それだけではない」と言った部分を 無視したかのように、

 「私も、胃ろうには反対です。
 お母さまは小柄で痩せていらっしゃるので、
 手術で胃ろうをつくるのは難しいです。

 『ここまで治して、今更胃ろう か』 という思いもあります」

と言われた。


他にもやりとりがあり、
主治医は、最後に、

「思いと現実のバランスが大事なんです」
と、話された。





【3つの選択肢から、どれを選ぶか】。

先週の主治医の出された【選択】は、

「やはりまだ、食事はできないです。
 高濃度点滴のままで様子を見ます。
 食事ができるようになりましたら、声をかけます」
ということだった。


主治医は、
先々週、
つるちゃんの嚥下についての詳しい話を かめこから聞いて、
改めて、つるちゃんを観察したところ、
「まだ無理」だと判断されたようだ。


かめこは、主治医の声がかかれば、なんとか行くつもりでいる。

そこには、
本人と家族のためにならないことはしないだろう、
という、主治医に対する【信頼】があって。





入院30日目 8月1日 微熱。 かめこが行ってしばらく、つるちゃんが泣いた。
           
入院31日目 8月2日 微熱。 手をしっかり握ってくれた。






関連記事:2008年10月23日付け 「リキッドと今後の話」
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【2010/08/03 07:48】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(8) |
29日目「またあした」
きのう入院28日目は、
つるちゃんが高い熱を出し、とても心配した。

つるちゃんの容態の悪化は、
カーテンを開けたときに、直ぐ感じた。
つるちゃんのベッド周りの空気が、これまでと違っていたんだ。
看護師さんの報告にも、これまで無かった「とても悪いこと」があり、
主治医も、「今のままで様子を見るしかありません。すみません」
と、困られている様子だった。


病状が 良い方向に行っていたとは言え、
つるちゃんの体力(免疫力)次第。
とても弱っている「今」、
ドォーンと落ち込んだら、戻れなくなっちゃうじゃない。
本気で心配した。
前日、「必ず家に帰れる」とつるちゃんに話したことを、後悔したりもした。
あのとき、すでに つるちゃんは 自分が悪くなる感覚でいた筈。
かめこの「楽観視」は、ただの慰めのように聞こえてしまっただろう。


「きょうはTさんが来るからね」
そう、精一杯励ました。

そして、病院を出るとき、
「寝ていても、手を握って声をかけてね。楽しみにしてるから」
と、弟(Tさん)の携帯に連絡を入れた。


入院28日目。
かめこは、きのうの夜が、
これまでで一番心配で、何度も目が覚めた。




入院29日目のきょう。
微熱はあるものの、
つるちゃんは、きのうとは、まったく違っていた。
このところ、毎日気になっていた、【つるちゃんの痰】を、
気にせずに過ごせたことが、一番違うことかな。

【落ち着きない感じで、手や頭を動かす】。
これは、具合悪いからだろうけど、
弱りすぎていると、これさえもなくなる。
疲れ果てて、おとなしくなってしまう。

病人に「元気」なんて表現は おかしいけど、
つるちゃんは、
きょう、元気になっていた。
これは、疑いなく、【愛息パワー】の おかげだわ!



そしてね。

かめこが帰り際、いつものように 
「また あした来るからね」 って言ったら、

「うん」
と返事をしてくれたんだ。


つるちゃんが入院して、
29回目にして、
初めての お返事。



帰り道、
タクシーで片道1400円前後の所を、
歩いて帰った。
駅まで バスも出てるけど、遠回りになるし、
なにより、
そういう気分だった。


歩きながら、涙が出た。



「また あした」


また あした、つるちゃんと会える。



【2010/07/31 23:49】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(8) |
27日目選択肢は3つ
入院27日目。

きょうも微熱あり。37度4分。
つるちゃんは、眠らずに、じっとかめこを見つめてる。

そしていっとき、やけに話しかけてきた。

「どこか痛いの?
 苦しいの?
 暑いの?
 寒いの?
 枕固い?」

そんな かめこの質問に、
うなずきもせず、首も振らず、聞いてもいない風。

そういうことではなくて、
何か、話したいことがあるみたい。
つぶやくように声を出す。

でも、かめこには、何も聞き取れない。



もしかして、つるちゃんは、自分の病状を知りたいのかしら?

かめこは そう思って説明した。

「あのね、肺炎は もう良くなりましたって。
 だけど、まだ下痢したり熱が出たりしてるでしょう?
 これは、食事をして栄養を摂らないと、ちゃんと治らないんですって。
 必ずうちに帰れるからね。
 食べられるようになるまで、しばらく時間がかかりそうだけど、
 がんばって治そうね。
 あ、もうたくさん がんばってるんだよね。分かってるよ」


つるちゃんの反応は無かった。
なんだか、かめこが一方的に話したみたいな感じだった。

それでも、その後、つるちゃんは目をつぶって眠ったから、
きっと、かめこの話は、つるちゃんに届いたんだろう。





【続きの表示】
【2010/07/29 23:17】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(2) |
26日目お母さんのほほえみ
入院26日目。


「きょうは、朝37度2分で、午後になって7度6分まで上がっています」
 下痢は続いていて、痰も、引く必要があります。
 ご報告としては、そんなところでしょうか」

かめこが居るのに気づき、
他の患者さんの処置に来た、看護師さんが声をかけてくれた。
先日、身体拘束の件で、かめこが怒ってしまった看護師さんだ。
それだけに、
他の誰が教えてくれるより、ずっとうれしかった。

この間の【朝の電話】といい、
看護師さんたちのお心遣いに、感謝しています。
かめこの気持ちを分かってくださってありがとう。




さて、
お熱のつるちゃんは、
苦しそうには見えなかったけど、疲れた様子で眠っていた。

かめこはつるちゃんの手を握り、
しゃがんでべッドの柵に顔を近づけ、つるちゃんの寝顔を見ていた。


・・・そして、
そのまま、居眠りしちゃったみたい。 




気がつくと、

つるちゃんが、真っ直ぐかめこを見ている。
なんだか、ずっとそうしていたみたいな感じ。


あ、気づいたのね。

そんな風に、
つるちゃんが、ほほえんだ。


お母さんは、とっても あったかい 目をしてた。
【2010/07/28 23:23】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(6) |
25日目水なしシャンプー
入院25日目。


きょうは熱がなかったので許可が下り、
「水を使わないシャンプー」なる物で、つるちゃんの髪をきれいにした。

つるちゃんが髪を洗ったのは、
入院する前日、7月2日が最後。
その日午後からショートステイに行くので、
朝、かめこがシャワーで、髪と身体を簡単に洗ってあげたんだ。

だから、実に26日ぶり。それでも【水なし】だけど。

最初に、ブラシで ていねいに地肌をとかしてから、
【水を使わないシャンプー】の泡を髪になすりつけてタオルで取る、
というのを繰り返した。
寝たままの状態でするのは、とても難しかった。
うまくいったのは、頭の4分の1くらいかなぁ。


かめこは、
気になっていた、つるちゃんの髪を 少しはきれいにできてうれしかったけど、

つるちゃんは、本当は、
かめこに、何もしないで、
ずっと手を握っててほしかっただろうな。



①下痢は続いているものの、きょうは、回数も量も少ないようだ。
②左腰のじょくそうに貼っている、【フイルム】を交換してもらった。
                浸出液は多い。
③入院前からあった【左手肘外】の傷が、先週は大分良くなっていたけど、
 看護師さんに見てもらったところ、新にわりと広くむけてしまっていた。
 これまではガーゼを貼っていたので、
 きょうは【じょくそうに貼るフィルム】を貼ってもらった。
④右の腰の赤くなっている部分も、確認してもらったところ、異常なかった。
⑤かめこが希望したのに 一人が「必要ない」と判断した「痰の吸引」を、
 別の看護師さんが、お願いしなかったけれど、してくれた。
 痰はたくさん引けました。
 この看護師さんは、一番頼みやすいし、頼まなくても、先にやってくれる。
 ②~③も、この看護師さんだったから ていねいな対応だった。
 (文章の「もらった」というのは、かめこの希望もあっての対応です)
【2010/07/27 23:59】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(6) |
24日目朝の電話
入院24日目。


朝、病院の看護師さんから電話があり、

【今朝の口腔ケアの最中に、つるちゃんの上前歯が抜けたこと】
を知らせてくれた。

その歯は、もう随分前からグラグラしていて、
今にも抜けそうだった。
だけど、
訪問歯科の先生にも、「このままで良い」と言われていたので、
放っておいたものだ。


看護師さんが、「すみません」と謝まられたので、

「謝っていただくようなことではないです。
 知らない間に抜けるより、安心できてよかったです。
 連絡してくださって、ありがとうございます」 と話した。




午後、かめこが行くと、
つるちゃんのベッドサイドの机の上に、
その前歯が、袋に入って置かれていた。
改めて見ても、
裏側が大きく欠けていて、きたなかった。

75年間くらい、口の中に生えてたのかなぁ。
長い間、つるちゃんのために がんばってくれてありがとう。



これで、
つるちゃんの上の歯は、3本になり、
うち前歯は1本になった。


つるちゃんは、もう以前から、
噛むことが必要な物は食べられなくなっているので、
歯の本数が減ったことでの、悪影響は少ないだろう。


もう、
きのうみたいに【唇を噛むようなこと】が起きても、
少しは 下唇を傷つけにくくなるだろうから、
かえって、良かったと思う。


それに、
抜けた歯は、
飲み込んでしまっても便に混ざって出て来るそうだけど、
看護師さんに話したとおり、
見ている時に抜けてくれた方が、安心だ。



そして、抜けたことを、直ぐに知らせてくれたことが 
うれしかった。



かめこは、
つるちゃんに何かあったら、
とにかく知らせてほしいんです。

朝の電話で、
看護師さんたちが、
そのことを分かってくれたんだと思えて、うれしかった。



きょうのつるちゃんは、
かめこが行ったときには、落ち着かない感じで調子悪そうだったけど、
帰るときには、穏やかな顔をしていた。
きのうの 下唇のかさぶたは、きれいになっていた。
抜けた歯の痕も、なんともなかった。
下痢は相変わらず。
痰を引かれているときは、のけぞってイヤがり、かわいそうだった。
【2010/07/26 23:23】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(6) |
23日目また拘束連絡無し
入院21日目と22日目は、
微熱と下痢が続き、
つるちゃんの様子は、特に変わりなかった。
おしっこの管と、高濃度の点滴(足の付け根より)も引き続き入れられている。


入院23日目。7月25日(日)。

かめこが行くと、
つるちゃんは、またもや、両手に硬いミトンをはめられて拘束を受けていた。

その他に気づいたことは、
下唇に厚みのある血のカサブタがあり、
唇の左端から、血が出たような薄いスジが残っていること。
つるちゃんは、よほど強く唇を噛んだようだ。




かめこは、ミトンを外すと、
ナースコールを押し、看護師さんを呼んだ。

「拘束されていましたが、どういう理由ですか?」

看護師さんは、記録を見るなどということなく答えた。
「処置をしているとき、強くつかんだり爪を立てたりされたものですから。
 それに、管も抜いてしまわれたようです」

「先々週の木曜日にも拘束されていて、その後、
 看護師さんが おふたり、
 『今後は家族に話してからにする』とおっしゃっていたのですが」
 「あとになってでも 必ず知らせてくださるように、お願いしました」
 「連絡してくれれば、10時に来られたのに」
 「看護師長さんとお話ししたいです」

いろいろ言ったけど、忘れた。
途中から、 かめこは、怒りで声が震えてしまった。

あれほどお願いしたのに、面会に来るまで知らされなかった。
看護師への処置の拒否なんて理由で、拘束されたというのだろうか?




少しして、看護師長が来た。
出勤間もない様子。(先ほどの看護師さんも「もう直ぐ来ます」と言っていた)
かめこは つるちゃんの顔側に居て、看護師長は背中側に立つ。

師長
「連絡ナシに、抑制があったということですね?
 看護師に爪を立てた、というようなことは、他の患者さんにもあることなんですが、
 ご自分を爪でひっかいたりして傷つけられたので、
 お怪我をされないように、抑制したようです。
 ほら、血の跡があります」
 (唇のスジを指して)


「先ほどの看護師さんの説明と違いますが」

師長
「私も、その看護師に聞きました」


「管を抜いたわけでは無いのですね?」

師長
「それは、前回の話ではないでしょうか」


かめこは、看護師長に、
 前回、ふたりの看護師さんと主治医に、かめこが話したことと、
 3人の話を、それぞれ なんと言ったか せりふを再現して伝えた。
そして、

「私は、後になってからでも、必ず知らせてほしいとお願いしました」


師長
その看護師は、前回のその話を知らなかったのだと思います。


「それでは、こちらでは、
他の患者さんたちは、『拘束されても、家族には知らされない』のが、
通例だということですね?」


師長
「いいえ。
 拘束については、事前に書類で、ご家族の許可を受けた患者さんにのみ、
 ということになっています」
「今回の原因としましては、
 看護師が、一人の判断で行なってしまったということが、反省点だと思います。
 もしも、誰かに相談していたら、
 『つるさんは ご家族の許可をいただいてないから、そういうことは出来ない』と、
 答えがかえってきたはずですから」


「とにかく、必ず知らせてください」
「爪に関しては(長すぎると)気になっていました。
 巻き爪があるものですから、
 家では、ホウカン(訪問看護師)さんに切ってもらっていて、
 自分で切っていいものか・・・と思っていました。
 爪切りを貸していただければ、私が切ります」


看護師長には、その点について反論しなかったけれど、
かめこは、その時点でだって、
つるちゃんが、自分をひっかいたとは、思っていない。 



その後、
急につるちゃんが、気持ち悪そうにした。
ナースコールを押すと、
先ほどの看護師さんが来て、血圧を測ってくれた。
つるちゃんが 肘を伸ばせなかったので、ヘルパーさんも手伝った。

かめこは、看護師さんに、
「母は、私がお世話になっているスタッフに文句を言うと、
 いつも心を痛めるんです。
 今も、それで、気分が悪くなったのだと思います。
 『怒ってごめんない』」

看護師さんが、お気遣いなくという顔をして、
ヘルパーさんが、かめこに、
「文句だなんてこと、無いですよ。
 大事な事ですからね」
と言ってくれた。
看護師さんも、そうですよ、という顔をされた。




それから、少しして、
かめこが、つるちゃんの爪を切っていたら、
先ほどのヘルパーさんが、
「手浴をしましょうね」
と言って、洗面器にお湯を張って持って来てくれた。


つるちゃんの爪は硬くなっていてるから、
家では、いつも手を お湯で温めてから 爪を切っている。
無理すると、割れる心配があるんだ。

その時は、
ほとんどの爪は、切れたけど、
親指だけは、硬くて硬くて、歯が立たなかった。
お湯で温めたら、うまく切ることができた。


そのヘルパーさんは、
自分も、以前 認知症で寝たきりのお母さんを見ていて、
入院した時に、拘束されたという話をされた。

そして、

「午前中に、オムツ交換に伺ったとき、
 抑制には気づいていたのですが、
 おしっこの管を引っ張られたものですから、
 (手袋を)そのままにしてしまいました。
 すみませんでした」
と話してくれた。


管を抜きそうになった、ということは、
拘束後のことであるにしても、
どうやら事実のようだ。

でも、唇のカサブタは、
つるちゃんが、手を拘束されて、
つらくて、
唇を強く強く噛み続けた時に出血したものだと、
かめこは想像する。



それから、そのヘルパーさんが、
「母のときには、ぬいぐるみを持たせたのだけど、
 何か 握ってもらえるようにしましょう」

と言って、
タオルを持ってきてくれた。



代替えのものについては、
家でも、
ヘルパーさん達と考えていたことだ。


つるちゃんの好むのは、
「頑丈で固定されて動かない物」
「何かに繋がっていて、引っ張ると手応えのあるもの」
なので、
病院では、手すりにつかまってくれていれば、
かめこは安心なのだけど。
(それだと、処置や着替えは難しい)
【2010/07/25 23:59】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(2) |
20日目マスクで面会
入院20日目。


きのうときょう、
かめこは病院に居るときは、マスクをつけている。

おととい、病院の玄関を出た時に、
突然、喉の痛みに気づいたんだ。

かめこの風邪は、いつも喉から来て、
何日か続き、それで治まる。
だから、今回も、風邪だろうなぁ。
そう思って、いつもの市販薬を飲むことにした。



きのうは、
マスクをつけた上、
なるべく つるちゃんから離れていた。
そうは言っても、手は握りたいから、
握った手を、伸ばせるだけ伸ばして。


きょうは、
大分楽になったから、
マスクをつけた顔を、きのうよりは、つるちゃんの顔に近づけた。

「風邪ひいてるみたい。
 でも、もうほとんど治ったからね」
って、 説明しながら。



つるちゃんはね。
うちに来るヘルパーさんが マスクをつけてると、
いつも、とても心配そうな顔をするんだ。


でも、きのうもきょうも、
かめこのマスクに、まったく反応しなかった。
(スタッフも、今マスクはつけてないから、見慣れたからではない)



入院してるんだから、当たり前なんだけど、

つるちゃんは、よほど具合悪いんだ。
人の心配なんか、する余裕無いんだ。
って、改めて実感した。



20日目。微熱あり。
午前0時から夕方までの 下痢は2回で、うち1回は量多し。



【2010/07/22 23:26】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(2) |
19日目にらみつけた
入院19日目。
東京は、2年ぶりとやらの猛暑日。


かめこがベッドをのぞくと、
つるちゃんは、さも鼻が詰まったような息遣いをしていた。
苦しそう。
これでは、同室の人は気になって眠れないだろう、
というほどの音がする。


握り返す、つるちゃんの手をほどき、
かめこは、ナースステーションに行き声をかけた。

「お手空きの時で良いですので、見に来てください」
この時間帯は、看護師さんが少ないようだから、
ナースコールで呼びつけるのもどうかなぁ、と思って。

だけど、
待てど来てくれなくて、ナースコールを押す。



きのうは、
部屋に入ってきた看護師さんに、
「鼻が詰まっているようなのですが」
と話して、見てもらった。
看護師さんは、つるちゃんの様子を見て、
「特に苦しそうには見えないので、良いと思います。
 あまり管を入れるのも良くありませんから」。

その時は、そうなのか、と納得したのだけど、
後で考えたら、
うちでなら、
赤ちゃん用の“鼻吸い器”で、吸ってあげるレベル。
ここで吸っておかないと、
つるちゃんの場合は、急性の副鼻腔炎になる心配がある。



それで、きょうは、
ナースコールで来てくれた看護師さんに、
「苦しそうなので、鼻を吸ってほしいです。
 副鼻腔炎になりやすい人ですし」 とお願いした。
きのうときょうとでは、状態が違うから、
副鼻腔炎を持ち出すこともなかったのだろうけれどね。



看護師さんは、直ぐに管を右の鼻に通し、吸引をはじめた。
ズルズルズゴー ズルズルズゴー いくらでも出る。
やけに長い。

「痰も詰まっているようね」
そのまま管を奥まで差し入れて、吸引を続ける。

かめこは、つるちゃんを励ましながら、
手を、より強く握りしめた。
つるちゃんは、のけぞるようにして(それほどは動けないけど)
吸引を嫌がった。


またまた いくらでも出る感じ。

「左も詰まっているかしら」と、看護師さんが、チューブを入れ替える。


「わぁ、長くかかって大変ですね!」
かめこが言うと、
看護師さんは、
「こちらは、鼻だけですので、そんなにつらくはないと思いますよ」


左側は、まぁ、これくらいなら、と思えるような長さで終わり、

「お疲れ様でした。つらかったですね」と、
看護師さんが、つるちゃんに声をかけた。


その時、つるちゃんが、
ものすごい形相で、
看護師さんをにらみつけた。



「誰が、こんなことをしたんだろうと見ているのね」
と、看護師さんが言ったので、

かめこは、つるちゃんに、
「違うのよ。
 看護師さんは、つるちゃんが楽になるために、やってくださったのよ。
 でも、もっと早く やってほしかったわよね」
と言い、

看護師さんに、
「本当に、もう少し早くやっていただけたら、
 こんなに長くかからずにすむと思います」
と、話した。

「全然やってない、ということはないだろうと思いますよ」
と、その看護師さんは答えた。




今、思うと、

つるちゃんも、かめこと同じ思いだったのではないだろうか。


「こんなひどい目に遭わせる人は、誰なの!」と思って
にらみつけたのではなくて、

「どうして、もっと早く来てくれなかったの!」
と、怒りをあらわにしたのではないだろうか。



だって、
つるちゃんは、訳の分からない人ではない。

自分が病気になって、
入院して、治療を受けていること、
ガマンしなくちゃいけないことがたくさんあることを、
知っている。

看護師さんに、お世話になっていることも、
看護師さんが良くやってくれていることも
分かっている。


それでも、どうしても分かってほしいこと、
ってあるんじゃないかな。




吸引直後から、
つるちゃんの息は静かになった。

19日目は、朝から38度くらい。
下痢の量も多い。
【2010/07/21 22:56】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(2) |
18日目じょくそう発見
入院18日目。


きょうは、ここ数日に比べて、下痢の回数と量が多そうだ。

オムツ交換の最中に、
ヘルパーさんが 必要な介護用品が足りずにベッドを離れられたとき、
かめこは、つるちゃんのオムツの中の、
気になっていた 【じょくそうの痕】を見せてもらった。


その【じょくそう痕】は、左腰にある。(「大天使」と言う人もいる部分)。

この頃 かめこが居るときには、
つるちゃんが いつも左側を下に寝ていたので、確認できなかったのだけど、
とても気になっていたんだ。


その場所には、
入院3日目(7月5日)に、かめこがお願いして貼ってもらった、
【じょくそう予防のためのテープ】が貼ってある。



18日目の きょう見たら、
同じテープが そのまま貼られ、
端は丸まっていて、
テープの下の【じょくそう痕】だったものは、赤く腫れあがっていた。


かめこは、別のベッドのケアを終えた、看護師さんを呼び止め、
「右と左の腰に貼ってあるテープは、7月5日に貼ったものです。
 端がよれているようですので、見ていただけませんか」
とお願いした。



その後、
看護師さんが、別の看護師さんを呼び、
ふたりで、カメラで記録したようだ。


処置が終わり、
先ほどの看護師さんが、
「すみませんでした」と、わりと軽くかめこに声をかけた。



ヘルパーさんによる オムツ交換一連ケアが終わり、
「お待たせしました」との声がかかり、

かめこは、
つるちゃんを労ってから、
少し間をおいて、

つるちゃんのオムツの中を見せてもらった。


【じょくそうになった時に貼るもの らしきテープ】が、貼ってあり、
透けて見えた、腫れあがった赤みの真ん中は、
皮がむけてしまったようで 黄色くなっていた。





7月3日に入院したとき、
看護師さんが、
「左腰に 【じょくそうの痕】がありますね。
 右側も、赤くなっているようですね。
 それらも気をつけてケアさせていただきます」
そう言ってくれて、
かめこは、とても心強く思った。感激するほど。



だけど、

できてしまって、
ようやく 気をつけてケアしてもらえそうだね。
【2010/07/20 23:59】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(2) |
17日目誕生日に来てくれた人
入院17日目。


7月19日は、つるちゃんの誕生日。
きょうつるちゃんは、81歳になった。

つるちゃん、お誕生日おめでとう!


つるちゃんの甥、かめこの従兄のSちゃんが、
上京の日程を延期して、
あえて誕生日当日に、お見舞いに来てくれた。
つるちゃんは、Sちゃんの顔をはっきり見て、
顔をくずして、とてもうれしそうにした。
何か、一生懸命に話そうともした。
(かめこにも、なんて言ったか分からなくて、残念)


認知症の初期には、
「相手の話や感情に合わせて、
 分かってなくても分かっているかのように受け答えする。
 相手が望む表情をする」
というのがあったけれど、
今のつるちゃんに、そんな器用な芸当はできない。

だから、というより、
心底うれしそうなつるちゃんの様子を見て、

「叔母さん!」と呼んでくれる、
今は、“いいおじさん”になったSちゃんが、
あの、テープレコーダーを抱えて旅行するような学生だった“甥”だと、
はっきり認識しているんだと、
かめこは思った。

前日、かめこが「あしたは、Sちゃんが来てくれるからね」
と話した時にも、驚いてうれしそうにしてたから、
つるちゃんは、Sちゃんのことを、
名前を聞くだけでも、分かっているよ。




さて、
今回入院したことで、
今のところ、
つるちゃんの認知症の 記憶や見当識といった症状の進行は見られない
と感じていたけど、
きょう、
つるちゃんの81歳の誕生日に、
かめこは そのことを確信した。


これはね、
つるちゃんの認知症が、
そういうものが進行しにくい 
性質のものだろうということも外せないだろうけど、
(それでも、かめこのことを知らない人だと反応したり、
 子どもの時に戻ってしまう時期もあった)

この病院の
看護師さんたちや お世話をしてくれるヘルパーさん達が、
言葉を持たない患者さんたちにも、
相手が感情を持った人として、接してくれているということが、
大きいのだろうと思う。

特に、看護師さん達は、
かめこがカーテン越しに聴いていると、
返事が聞こえない患者さんたちも、小声で話しているに違いない、
と思えるほど、
“一方的な言葉かけ”ではなくて、
“会話の話し方”をしているんだ。



それは、
きょう来てくれたSちゃんにも、共通している。

「Sちゃんはね、
 テープレコーダを抱えて、その土地の人にインタビューしながら
 旅行してるんですって」

そう感心していた母を、
かめこは、きのうのことのように思い出す。



ねえ、Sちゃん、
Sちゃんがアナウンサーになったと聞いた時、

つるちゃんは、
まるで自分の子どもの就職が決まったかのように、
それはそれは、喜んでいたんだよ。

「テープレコーダーを持って旅行するほど、
 人と話をするのが好きなんだから、
 ほんとにやりたいことを、職業にできたのね!」

 って。


Sちゃん、きょうは 本当にありがとう!


【2010/07/19 23:45】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(12) |
16日目元気もらう側
入院16日目。


面会に来た人は、
病棟のナースステーション前に置かれているノートに名前などを記入する。
きょうは かめこが、その日の面会人1号だった。


つるちゃんは、いつものつるちゃんに戻っていた。
いつもの強さで
かめこの手を握り返すし、
たまには、片手を自分から離したりもする。


熱も、きょうは37度そこそこみたい。
でも、回数は かなり少なくなったものの、まだ下痢は続いている。


かめこがつるちゃんの顔を見て直ぐに、
オムツ交換があり、
かめこは、廊下に出た。

向こうから、入院患者さんと分かる女の人がふたり、やってくる。
ひとりは歩行器を押していて、もうひとりは点滴台につかまって歩いている。
どうやら、廊下を歩くリハビリ中のよう。
「あと2周よ」
などと、声を掛け合っている。


すると、
先を歩く、歩行器を押している方の人が、
かめこに目をとめ、
「その服、いい色ねぇ」
と、声をかけてくれた。

「あ、ありがとうございます」

「ほんと、とっても明るくていい色!」
点滴台を押している人も、同意してくれた。


「面会に来る人が 明るい色を着ていると、
こっちも気分が明るくなるわよね」

「そうそう、面会の人は、明るい服が一番!」


そう話しながら、
かめこの前を通り過ぎ、
またふたりで楽しそうに歩いていった。



かめこは、おふたりを目で追った。
ちょっとまぶしかった。

気分を明るくさせてもらったのは、かめこの方です。
どうもありがとう!
どうぞ早く良くなってくださいね。



お寺の鬼灯祭り
【2010/07/18 23:37】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(3) |
15日目拘束の後遺症
入院15日目。


きのうときょう、
つるちゃんは、37度後半の熱が出ている。
今は抗生物質を休んでいるそうなので、
つるちゃんが、自分の力だけで闘っている証の「熱」かもしれない。

がんばれ! つるちゃん。



他に変化といえば、

きのうときょうは、
いつも以上に、かめこの手を 固く固く握りしめていた。
そして離そうとしない。
それで、
きのうもきょうも、帰るとき、とてもつらかった。



それがね。
おとといは、
かめこが握った手を、握りかえそうともしなかったんだ。一度も。
かめこに握られるままにさせていた。


そんなことは、つるちゃんには考えられないことだ。



認知症の精神的症状が、
今は 落ち着いているとは言え、

なくなることのない【不安感】を、
つるちゃんは、
いつも【握る】ことで、なだめているかのようだ。

そして、また、
【握る】ものの手応えで、
自分の存在を確かめているように かめこは感じるのだ。



そのつるちゃんが、
握ることをしなかった!


つるちゃんが、かめこの手を握ろうとしなかった 【おととい】は、
つるちゃんが、
深夜から かめこが行くまで、
外せない固い手袋をはめられて、拘束されていた日だ。
手の平を、開かされたままでいた日だ。



その日、
つるちゃんに、不安感がなかったわけなど無い。
むしろ、その逆だったはず。


だけど、
つるちゃんは、

手が自由になっても、
自分の不安感を、なだめようとしなかった。
自分の存在を、確かめようとすることをしなかった。


不安感をなだめる手段をそがれ続け、
自分の存在感を確かめる手立てを阻まれ続けたことで、

きっと、つるちゃんは、諦めきってしまい、
手が自由になっても、直ぐには、自分を解放できなかったんだろう。


そして、
きのうときょうは、
かめこの手を 固く固く握り続けることで、
ありったけの不安感を、かめこに教えてくれている。
自分の存在を 確かめている。




つるちゃんが身体拘束されて、
何も握れないでいた時間は、13時間程度。

つるちゃんが、
通常の握り方ができるまでには、
その何倍の時間を費やせばいいのだろう。


明日になったら、
つるちゃんの不安感は、
身体拘束される前に戻っているのだろうか。
【2010/07/17 23:59】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(1) |
14日目敗血症から生還
入院14日目。

つるちゃんの肺の炎症は、入院4日目が最悪で、以後回復傾向。
とりわけ、
酸素マスクが外れてからは、
つるちゃんの呼吸が日々楽になっていることは、
面会で見るだけでも、実感できていた。

そうは言っても、
「合う抗生物質は無い」
「血液に感染している」と 主治医に聞いていたから、
かめこは楽観視できないでいた。
今は おとなしくしている【菌】が、また 暴れ出すんじゃないかって。


それが、
きょうの主治医の話では、
「抗生物質については、手を替え品を替えしていた結果、
運良く効いてくれたようです」
とのこと。



「それは運ではなくて、先生のご経験(が生かされたの)だと思います」


「でも、血液に感染していると、
 また肺に戻ったり、別の臓器に悪さしたりするのではありませんか?」

主治医
「主に肺と胃腸に感染するもので、他の臓器は大丈夫ですよ。
 それに、血液にはもう菌はいない と見ています。
  血液に感染してたら、高熱が出続けますから。
 【敗血症】は、もう治っていると思います」


ああ、良かった!  今度こそ、本当に良くなってきたんだ!

ただ、入院は、かなり長くなりそうです。




主治医との話の終わりに、
「やはり、自分の気持ちは お伝えしたいと思いまして」
と、かめこは切り出した。

「尊厳を守れない場面に、慣れないでほしいのです」

主治医は、
「すみませんでした。
 ただ、看護師も一生懸命やっている中での事だということも、
 ご理解ください」


「それは もちろんです」



主治医も、きのうの看護師さんたちも、
「しかたなかった」という言葉を出されなかった。

そのことに、かめこは敬意を表する。



「命にかかわる管 を抜いてしまう人が、
 手を使えないように、
 拘束することは、
 しかたない」


医療従事者も、介護職も、家族も、
そう考えがちだろう。
そして、
諦めてしまう。


「でも、それは違うんです」
そう、
つるちゃんが かつてお世話になっていた、
認知症専門病院の相談室長さんが、
教えてくれた。



例えば、
現在のつるちゃんの場合。

認知症は落ち着いているし、
病院での精神状態も落ち着いてるので、
引っこ抜くというより、
とにかく握りたがるので、
握ってしまって動いたはずみで 抜ける、
可能性が大きい。

だから、
手を握り続けてあげられなくても、

ちょこっと抜けた段階で 気が付いてあげられたら、
全部抜けてしまうような事体には なりにくい。

(ちょこっと抜けたけど対応が早かった場面が、実際にあった)

= 管を抜いてしまう人 にはならないですむ。




そういうことは、
「しかたなかった」と 簡単に言えてしまう人には、探せないだろうからね。
【2010/07/16 23:15】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(8) |
13日目身体拘束受ける
入院13日目。


かめこがベッドをのぞくと、
つるちゃんが、両手にミトンをはめられていた。



「拘束したんですね。(本人が)チューブを外しましたか?」
隣のベッドで処置をしていた、看護師さんに聞く。

看護師さんは、記録を見て、
「夜中の12時頃、鼻のチューブを抜いてしまわれたので、
 拘束させていただきました」。


「私が居る間は、外していいですよね?」

「はい」



つるちゃんは、以前、小さな施設で身体拘束を受けていたことがあったけど、
拘束具ミトンを実際に見るのは、かめこは初めて。

それは、厚手の布製で、
手の平部分には、硬い板のようなものが入っていた。


かめこは、つるちゃんの手首を厳重に縛っている、紐を解く。
そして、
いつもみたいに、つるちゃんの手を握った。



かめことしては、
つるちゃんが拘束されている時間を、少しでも短くしてあげたい。

自分が手を握っていさえいれば、
つるちゃんは拘束を受けないですむのだから、
きょうは、夕食の支度をしてこなかったから、帰らなくちゃいけないけど、
明日からは、8時まで居たい。
事情があるのに、できるかなぁ。
日曜日は、(午前10時から夜8時まで)ずっと居たいけど、どうすればいいだろう。
これは、(付き添いが)厳しいことになったわ。

などなど、
なんとか長時間、付き添えないかと、頭を痛める。



それから、
つるちゃんが拘束を受けていることを、自分が知らされていなかったことに
思い至り、
先ほどの看護師さんに、


「同意書のような物を見せていただけますか?」 とお願いした。


後で考えると、
この時「同意書」という言葉を出したのは、かめこの誤り。

多くの病院では、
【「緊急の事体で止む終えに場合には、拘束することもある」旨の書類を、
予め、 用意してあり、
家族が、同意せざるを得ない状況に追い込まれる】
と聞くけれど、
それは、本末転倒の意識を招くやり方だと思うから。


看護師さんが戻ってきて、

「お話ししなくて、すみませんでした。
 主治医と説明させていただきますので、しばらくお待ちいただけますか?
 今、主治医は別の患者さんを診ていますので」


それから程なくして、
別の、前の人より責任のありそうな看護師さんが来て、
(看護師長でないことは確か)

「すみませんでした。
 後ほど 主治医と説明させていただきますが、
 夜中の1時頃に、大事なチューブを抜いてしまわれたので、
 緊急的に、拘束させていただきました。
 今後、このようなことがありましたら、
 事前にご家族に説明させていただきます」


「そうですね。
 今回の場合は、こういうことをしていると、朝、知らせてほしかったです」



それから しばらくして、
先の看護師さんが来て、

「主治医が、鼻のチューブは もう抜いて良いとのことです。
 今から、抜きますね」


(まぁ! それは急な展開だこと!
 きのうは、胃からチューブに結構量が出ていたようだったけど、
 大丈夫なのかしら?
 主治医が判断されたのだから、大丈夫なのでしょうけど)


という訳で、
つるちゃんの顔には、チューブやマスク類は、もう何も付けられていない。



その後、主治医の話は、なかった。
かめこは、帰り際、ナースステーションの中に居る 主治医を目にしたけど、
声をかけて説明を求めることは、しなかった。


【身体拘束】について 
というより、【尊厳を守ることの重さ】 について、
自分が、主治医や病院側に、何を求めるか、

本当に 話したいこと(かめこが大事に考えていること)は何かを、
よく考えてから、

明日、オットさまと一緒に、主治医に会いたいと思っている。

もちろん、病状や 今後の治療方向について、とても知りたい。



なお、二人の看護師さんたちの対応からは、
「家族に言えばそれで良い」という風には感じられなかったので、
好感が持てた。



【2010/07/15 22:19】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(5) |
12日目呼吸しっかり
7月3日(土)朝に入院してから、12日目。


つるちゃんは、静かに眠っていた。
顔が一段とすっきりしたと思ったら、
きょうは、酸素チューブも外されていた。


「酸素を入れてないようですが、
 しっかり呼吸できるようになったんですね?」

かめこが看護師さんに確認すると、

「はい。きのうより良いようなので、外してしまいました。
 鼻(から胃への)のチューブは、吐くのが心配ですので まだ入れています。
 それは、今朝、右(鼻)に替えました。
 あと、尿の管は入れています。
 点滴は太いままです」


顔色も良いし、唇も赤みがある。
口を閉じたまま、鼻だけで呼吸している。ごく普通に。
鼻からのチュープには、きょうは液体がよく流れているけど、
液体が上がってくるからといって、つらそうな様子はない。


●「どこか痛い?」と尋ねると、
少し考えた様子をしてから首を振った。

●「気持ち悪い?」 と尋ねると、
少し考えた様子をしてから。。。答えが出なかったみたい。


↑ どちらも、たまに同じ質問をして、同じ答え方。



●「きょうは、7月14日、水曜日よ。
  外は暑くて、でも風が強いから わりと気持ちいいわよ」
 
↑ つるちゃんは、外の様子には、きょうも無関心な様子。


●「つるちゃんの誕生日は、7月19日だから、もう直ぐね」

↑ ここで、目が輝き、
  ああ、そうなの!  うれしい!  という顔をして、にっこり。
  かめこを見つめ直した。


●「つるちゃんは、今80歳だから、81歳になるのよ」

↑ またもや ヒトゴト。



どうやら、つるちゃん、
お誕生日は覚えているし、うれしい日で、楽しみな様子。


入院しているのに、そんな風に喜べるなんて、
なんてステキなことでしょうね。




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【2010/07/14 22:51】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(4) |
11日目呼吸が楽に
入院11日目。

つるちゃんの鼻と口を覆っていた、三角形の酸素マスクが外されていた。
替わりに、左右の鼻先にチューブが差し込まれている。
といっても、入り口だけで、中に入れられているわけではない。

看護師さんの話によれば、
酸素マスクより、濃度の薄い酸素が送られているもので、
「患者さんは楽になられたはずです」
とのこと。


きのうの主治医の説明でも、
厳しい状況についての話がある前に、
「肺の方の炎症は、治まってきているのですが」と切り出されていた。
見せてもらった肺の画像でも、
入院4日目の7月6日の画像が最悪で、
それ以後、
だんだん影が薄くなってきているのが、かめこにも見て取れた。

血液に感染してしまったから、
肺の状態が良くなっていることで、
単純に喜ぶわけにはいかないことは理解できたけど、

とにもかくにも、
つるちゃんの呼吸は、楽になっている。


酸素マスクが外されて、見た目のうっとうしさが無いこともあってか、
(鼻から胃へのチューブはあるけど)
つるちゃんは、家で寝ているみたいで、

「もう、お昼寝は終わりよ。起こしますよ」
と、かめこは、声をかけたくなった。




きょうの面会は、オットさまと一緒に行った。
弟も、
夕べのかめこの電話に心配して、駆けつけてくれた。

つるちゃんったら、
かめこが声をかけても(分かっていながら)無視したくせに、
弟が顔を見せると、
「あら、来たの」みたいな風に、
3回、何か話しかけた。
笑顔も出ていた。

ふうん、息子は やっぱり特別なんだ。

つるちゃんがうれしいと かめこもうれしいから、
いいんだけどね。




【2010/07/13 23:19】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(8) |
10日目予断を許さない状況
入院10日目。


検査の結果が出て、
つるちゃんの「(肺炎の原因となっている病原)菌に合う抗生物質は無い」
とのことだった。
それは、主治医にしてみれば、予想通りの結果だったようだ。
「近い物を使っているが、抗生物質を止めることも考えている」
そうだ。

また、
下痢と嘔吐の原因については、
「肺炎を起こしている菌が、血液に入り込み、
それが、胃腸で悪さを起こしている」 ことが、確定した。
これは、かめこは 【主治医の推測】として すでにと聞かされていたこと。

「予断を許さない状況です」とのことだった。


点滴は、これまでのものでは間に合わなくなり、
右太ももの付け根静脈に、太い針を指し、
そこから高濃度の輸液を送り込むという。

かめこが面会に行ってから、その処置が行なわれたので、
長く待たされることになった。
つるちゃんは、背骨がとても曲がっているので、針を指すのが難しく、
時間がかるようだった。
その後、レントゲン室に運ばれていった間も、会えなかった。



きのうの午後は、つるちゃんの孫娘 ミニーとデイジーも見舞ってくれた。
二人とも、入院の知らせを受けて来たわけではない。
実家滞在は予定通り。




それから、
これは書きそびれていたことだが、

肺炎を起こした、直接の起因は、
「肺に水が溜まっていた」という事実などから、
「腸閉塞のために 上がってきた 胃の内容物(液体)が、
 肺に入り込んだこと」が考えられるだろうとの
 主治医の見解だった。

 肺炎の原因となる【菌】の存在は明らかなので、
主治医の話を 勝手に補足させてもらうと、
「腸閉塞でガスが溜まったために上がってきた 胃の内容物(液体)が、
 のどから気道に入り込み(【誤嚥】)肺に届く過程で、
 のどに存在した【菌】を肺に運こんだこと」(だと考えられるだろう)
ということになるだろうか。
    (説明に医学的な間違いがあっても、責任は負いません)


また、その「腸閉塞」の原因は、
「便秘と腫瘍が考えられるが、便秘だろう」と主治医が決めつけていらしたけど、

「ここ一ヶ月間、便通調整は とてもうまくいっていました。
 宿便が溜まっていた、というの以外、便秘は考えられません」と 反論していた。
(だからと言って、「腫瘍」があると言いたいわけではありません)


それから、
肺炎が重症化する要素の一つに、「脱水症状がある」というのがあって、
入院当初、つるちゃんには脱水症状が見られたとのことだった。

かめこが、水分摂取量や質や飲み方には、気をつけていたことを
具体的に伝えると、

「腸閉塞があると、通常の1.5倍の水分量を必要とする」
(腸の壁が厚くなるからだそうだ)
ので、
通常なら足りていても、今回は その量では足りなかったとのことだった。






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【2010/07/12 23:10】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(1) |
9日目握る手に力をこめて
入院9日目。

午前中のつるちゃんは、
つらくて眠れない様子。
眉間にしわを寄せ、酸素マスクの下から、
かめこを見つめ、何かを訴え続けていた。


気持ち悪いわけではないって。
「痛いの?」
という問に いつも頷き、
でも、
「お腹が痛いの?」
との問には、首を振り、
「身体全部?」
と聞くと、頷いた。

下痢が続いているから、
お腹は渋るだろうなぁ。
【体中が痛い】 と感じるほどに。

それに、
もしかすると、
とてもだるいとか、
楽な寝方ではなくて、居ても立ってもいられないような不快さとか、
そういうものも、
「痛い」という言葉で表現しているのかも知れないなぁ。
想像だけれど。



抱きしめてあげたいと思ったけど、
ベッドが高めに設定してあって、
背が低く手の短い かめこは、
お腹を柵に押し付けるばかりで、
片手を つるちゃんの肩の後ろに届かせるのが、精一杯。



家での つるちゃんは、
ベッドに寝ているとき、
柵を握るか、柵の下に手を入れてマットレスをつかんでいた。
自分の寝場所を確認して、
不安な気持ちを、落ちつけたいのだろう。

でも今は、
柵にさえも 手を届かせることができないでいる。

つかめるのは、自分の腕か、酸素マスク、チューブ。


だからせめて、
片手ずつ握った かめこの手を、強く握り返せるよう、

心と力をこめて、
つるちゃんの手を握ってきた。




【2010/07/11 21:57】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(5) |
8日目平常心
入院8日目。

下痢は依然続いている。
吐き気の頻度は、少なくなったようだ。(チューブに上がる液体の量が減った)
一時、39度まで上がった熱は、きょうは37度4分止まりとのこと。

主治医は、
「(一番悪かったときに比べて) 悪くなってはいません。
 としか言えません」
との見解。




これまでは、つるちゃんが下痢をしたことを、
かめこは気づいてあげられていた。
音がすることもあったし、臭うこともあった。

だけど、きょうは、ヘルパーさんがオムツを見に来て、
初めて知った。

「ごめんね、つるちゃん。気づいてあげられなくて」
かめこは何度も謝った。
(謝るのは、1回でいいのにね)

日頃かめこは、
つるちゃんの大や小の臭いには敏感なことを自負していただけに、
気づけなかったことに、落ち込んでしまった。
きのうまでは赤くなっていなかったお尻が赤くなってしまったことにも、
申し訳なく思った。


●つるちゃんは、きょうは、長く目を開けていた。
●きょうも、しっかり見つめあって、手を握りあった。
    ↑(う~ん、文字にすると、なんか気恥ずかしいねぇ)
●かめこが、「気持ち悪い?」って聞いたら、その度、首を振った。
●「ごめんね」って謝ったときには、
      【気にしてない】か、
      【あなたの謝るのには、慣れっこよ】だか。。。そんな感じの表情をした。
      (かめこは、よく 自分の失敗を悔やんで、つるちゃんに謝るんです)
      (でも、そのわりには、同じ失敗を繰り返す)
●主治医の先生が つるちゃんの背中側に見えて、
「先生が、いらしたわよ」と話したら、
【あら、それはそれは】と 改まった神妙な表情をした。
●時々、泣きたいような表情も見せるけど、
それだって、正直な気持ちを表せているんだと思った。


なんだかねぇ、
つるちゃんが平常心を保っているように、かめこは感じて、
安心させてもらったんだ。

そして、
この人は、大丈夫なんだ。強いなぁ。と感心させられたんだ。


それで、
きょうはもう、居なくても大丈夫、って思えて、
つるちゃんが、目を閉じて、眠る様子になったので、
いつもより少し早めに、病室を後にした。




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【2010/07/10 23:25】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(3) |
7日目下痢続く
入院7日目。

かめこが行って程なく、つるちゃんが臭うようになった。
ヘルパーさんがオムツの交換をしてくれる間、かめこは廊下で待たされるのだが、
今回は やけに長い。
ヘルパーさんが、「まだ、かかります」と言っていったん病室を離れ、
またあわただしそうに つるちゃんのベッドのカーテンを開けた。

身体を動かしたら、つるちゃんが嘔吐したという。
その後、看護師さんが呼ばれた。


「落ち着かれていますよ」
看護師さんに言われて かめこがつるちゃんに会うと、
つるちゃんは、今度は右側を下に寝かされて、目を開けていた。

もう さっきまで頻繁にあった、あの吐き気のつらそうな感じは治まっているみたい。
それから、
また、看護師さんが来て、
鼻のチューブの液体を空にしてから、そのチューブから薬を入れる処置をした。
「下痢が続いているので、お薬を入れますね」。

つるちゃんは、きょうもパジャマのズボンははかされていない。
オムツの上は、バスタオルで覆われているだけだ。
「下痢が続いているので、下ははかないでいただいています」
きのう、看護師さんから そう説明を受けている。


バスタオルから出た左足の甲に、点滴の跡を見つけた。
点滴の針を探すと、
きょうは右足の腿外側に刺してあった。


その後、つるちゃんは、ずっと目を開けていた。
そして、おとといみたいに、ずっとかめこの顔を見つめていた。
弟が来た話も覚えているようだし、
時々、かめこに何か話そうとする。

ああ、良かった。少しは楽になったのね。



だけど、その後、
つるちゃんは
また、顔をゆがめ、首を振って、かめこの手をきつく握りだした。


つるちゃんが 穏やかでいられたのは、どれほどだったろうか。




コメントありがとうございます。
一言一言、とても励みにさせていただいています。
お返事書きたいと思いながら、今のところ、こうして記事を書くのが精一杯なので、
どうぞお許しください。



【2010/07/09 22:15】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(8) |
6日目容態悪化
入院6日目。

きのうの夜中、つるちゃんは何度も嘔吐したそうで、
それ以降、嘔吐と下痢と高熱が続いているようだ。
どれも入院してから初めての症状。


かめこが面会に行くと、
つるちゃんは、パジャマの上着を後ろ前反対に着せられて、
(ボタンがかけてあったかどうかは不明)、
 足からの点滴と酸素マスクのほかに、鼻からチューブを入れられていた。
 (背中には氷枕、多分ソケイ部に保冷剤も)。

鼻からのチューブは、
吐き気があった時、
喉に上がってきた物を吸い出すためのものだという。
たくさん上がってきた場合は、口から出てしまうけれど、
少しならば、チューブで対応できるという。
誤嚥防止のためにつけるようだ。


実際に、
かめこの目の前でも、
つるちゃんは頻繁に 吐き気に襲われていた。

疲れきったように眠っていたかと思うと、
(でも、きのうよりずっと苦しそうに寝ている)
苦しそうに目を開け、
頭や身体を左右に揺らし、
つるちゃんの手を握っている かめこの手を きつく握り、
顔をゆがませる。
本当は寝ていたいところだろうに、吐き気で起こされる。

そういうときには、
チューブの中に、液体が動く。
胃から上がってきた液体だ。
そしてその液は、つるちゃんが息を吸うとチューブの中を少し戻る。


下痢の方も、
かめこの居たときにも、2回もあった。
吐き気の方は、3分に1回位のペースだろうか?
辛そうで、見ている方も辛くなる。



弟が来てくれた。
吐き気の無いときには、寝込んでいるから、
会わせるタイミングが難しい。

なんとか見計らい、
つるちゃんの顔の前に立ってもらう。

「つるさん、Tさんよ。Tさんが来てくれたわよ」

つるちゃんは、はっきり目を開けて、
息子を見た。
かめこには、つるちゃんがうれしそうに笑ったように見えた。
そして、
酸素マスクの中で、 「久しぶり」 と言った。

その声は、
かめこには、はっきり聞き取れたけれど、
弟には聞き取れなかったろう。

「今、『久しぶり』って言ったのよ」
「Tさんのこと、はっきり分かっているのよ」
かめこは弟に、そう一生懸命説明した。




Tさんは、日曜日にも来てくれたんだって。
つるちゃん、眠っていて残念だったね。
今、単身赴任で遠くに居るんだよ。
よく来てくれたね。つるちゃん良かったね。



【2010/07/08 23:07】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(6) |
5日目二人の時間
入院5日目。

つるちゃんの病室は6人部屋で、つるちゃんは左側の真ん中。
ベッドの入り口側(手前)にスペースがあり、反対側は 直ぐ隣と隔てるカーテン。
だから、
つるちゃんが、左側を下にして寝ていると、
かめこはカーテンをふくらませて立たなければいけない。


左腰にじょくそうの痕があって、また傷になりやすいから、
家では、いつも右を下に寝かせている。
それで慣れてしまっているらしく、
左を下にしていると、なんか不自然で 体制が辛そうだ。


かめこが病室に入ったときには、
その窮屈そうな寝方で、“くの字”の身体がますます縮こまり、
氷枕から頭が落ちてしまっていた。
眠っているようだが、休めていない感じがする。
途中で、ヘルパーさんたちがオムツ交換に来て、
(尿は管で取っている。便のためのオムツ。出てはいないので見ただけ)
体位交換をしてくれた。


右側が下になって、つるちゃんは寝込んだ。
疲れ果てて寝込んでいるような雰囲気。


1度目を覚まし、また寝込んだ。
そのあと、目を覚まし苦しそうにした。

「看護師さんを呼ぼうか?」
つるちゃんが 頷く。

看護師さんが来てくれた頃には、
もう治まったみたい。

その後は、
ずっと目をしっかり開けて、かめこを見つめていた。

つるちゃんが眠っている間から、
かめこはつるちゃんの手を握っていたのだけれど、
しばらくすると、
今度は、つるちゃんがかめこの手を握った。
左手で右手を、右手で左手を。


かめこの手を握り、かめこを真っ直ぐ見つめたまま、
つるちゃんは 3回 何か話しかけて、
2度泣き顔になって、
1度笑った。

正確に言うと、
つるちゃんは 
かめこの手を握り、かめこと見つめ合ったまま、
3回話しかけて、(でも聞き取れない)
2度泣き顔になって、
1度笑った。



つるちゃんが、どうして笑ったかというとね。

かめこは丸いイスに座って、
つるちゃんの目の高さに 顔を合わせていたんだけど、
わざと、顔を 思い切りつるちゃんに近づけてみたんだ。

そしたら つるちゃんが、

ふふふって、笑った。



右側を下に寝せられてからの つるちゃんは、
家に居るときのまんまの
つるちゃんだったよ。



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【2010/07/07 22:14】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(3) |
4日目肺炎悪化していた
入院4日目。
朝、主治医の先生から 話があるとの電話があり、
オットさまと二人で 午後の面会時間にお会いした。

きのうの記事とは真反対の情報だった。
どうやら きのうは、かめこが、
先生の話を良いように解釈して 記事に載せてしまったらしい。
読み返しても、先生のどの言葉が勝手に書いたものだか、分からないんだけど、
「治ると信じ込んでいる家族」の書いたものだからと、お許し願いたい。



3日朝に、重症だと診断された つるちゃんの肺の画像は、
6日朝の画像では、白い部分が、もっとはるかに広がっていた。


○「肺がきれいになっている」と聞いたように かめこが思い込んだのは、
 聴診器での雑音がなくなったという意味のようだ。
○「入院時より受け答えの反応が良くなった」ことともに、
 良い材料があることは、事実。


だけど、
●「きのうの夜に、どうもおかしい(初めの抗生物質が効いていないようだ)
 と感じて、一番強い抗生物質に替えた」
●「今朝の画像では、肺炎の勢いが強く、入院時よりさらに大きく広がっている」
●「珍しい型の肺炎菌のようで、今の薬が効くかどうかも分からない」
●「菌の型を特定する検査は、結果が出るのに10日前後かかるので、
 (入院時に検査しているが)菌の特定には、まだ時間がかかる」
●「それまで体力がもつかどうかが心配」

そして、
「リハビリ(膝のストレッチ)は、
体力が消耗するので、もむぐらいにしておいてください」
とのことだった。
(きのうは、「リハビリがんばってください」と言ってくれたから、
 先生も、楽観視されていたのだと思う)


そういうわけで、
肺炎球菌の予防接種は、たとえ受けていたとしても、役に立たなかったとのこと。
(つるちゃんがかかった肺炎のタイプが)
「もし肺炎球菌だったら、もう効いているはずです」って。



きょうのつるちゃんは、目を閉じたままだった。
かめこが、
「かめこが来たよ」と言ったら、
その時は目を開けて、「うん」とうなづいてくれた。
返事をしてくれたのは、入院して初めてだった。



オットさまと相談して、
弟の携帯に電話を入れた。

「画像では、素人目にも とても悪化している」
「強い抗生物質に替えたけど、効くかどうか分からない」
「菌が特定できるまでには時間がかかる」
「体力が持つかどうか心配なようだ」

「先生に、今すぐ呼べと言われたわけではないけれど、
ちゃんと分かるうちに会いに来て。
今なら、あなただと分かるから」



【2010/07/06 22:36】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(6) |
3日目肺炎改善
「重症の肺炎」と「腸閉塞」での入院3日目。
つるちゃんは、1日目午後に見たと同じ、左下横向きに寝かされていた。
きのうまでより、意識がはっきりしている様子で存在感がある。

「つるちゃん、かめこ来たよ。
 ここは病院よ。
 つるちゃんは、病気になって入院しているのよ」

返事は無いけど、分かっているような雰囲気。
呼吸も、さほど苦しそうには見えない。
酸素マスクも、ゆったりかけてある。


だけど、なんか、きのうより具合悪そう。


氷枕が、頭の後ろに置いてある。
  これまで 熱は37度前後ということだったけど、
  きょうは高熱が出たのかしら?

ちなみに、咳はまったく出ていない。入院前も今も。


「膝を伸ばさせてね」
足に触るも、両足とも“くの字”に曲がったまま、硬くてうまく伸ばせない。
そもそも身体全体が、縮こまっている感じ。

(これは大変。
 かめこには、伸ばしようが無いわ)

前の記事で、「拘縮は進んでいない」と書いたけど、
それは、金曜日の朝と比べて という意味で、
つるちゃんは、すでに、普通に歩ける人とは大違いだ。
これ以上硬くなってしまったら、歩けなくなってしまうだろうと、
かめこは心配している。
もちろん、本当に心配なのは「命」なのだけど、
それは、病院にお任せしてるから。




主治医の先生が来てくれたので、
 「熱が出たのでしょうか?」 と尋ねる。

 「7度台前半ですよ」

 「拘縮がかなり出ています。
  調子悪そうに見えるのですが」
(体調と 日々の拘縮は 連動しているように感じているので)

 「肺は大分きれいになりましたよ。
  【意思の疎通】も、入院時と比べて大分違いますし、
  少し熱がありますが、私は心配していません。
  拘縮が強いのも、きょうは きのうに比べて調子が悪いということだと思います。
  日々の好不調は、これからもあると思いますが、
  (肺炎は)改善していますよ」
 
  「お腹は やはり張っていますねぇ」
 



きのうまでは硬かった先生の表情も、きょうは柔らかい。


ああ、安心した。

つるちゃんの命が 

助かったんだ。





【2010/07/05 22:18】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(5) |
2日目リハビリ開始
お寺の七夕飾り


「重症の肺炎」と 「腸閉塞」での入院2日目。

きょうは日曜日なので、10時過ぎに病院に行った。
(日曜は午前中も面会できる)

つるちゃんは、右下横向きに寝かされ、
きょうは、足の甲から点滴を入れられていた。

服の左袖には血が付いている。
右手も、これは針の痕ではなさそうだけど、赤くはれ上がっている。
      ああ、針を手に刺すのは、もう無理になったのね。

きょうは、目を開けていた。
呼吸も少し荒いけど、さほど苦しそうには見えない。
それで、
酸素マスクが目にかかっているとか、ゴムが頬に食い込んでいるとか、
命にはかかわらないようなことに目が行く。



すると、
つるちゃんが、点滴の針のついた脚を、ぐうっっと伸ばした。
きのうは、とてもこんな余裕はなかった。


「そうよ、つるちゃん、足、伸ばしてね」


かめこは、思いついて、
つるちゃんの膝をストレッチ始めた。
本当は、主治医の許可が必要だと思うけど、
日曜は居ないと、おしゃっていたから。。。(勝手にやるけど仕方ない)

以前PTさんに教わってからというもの、
つるちゃんがイスに座っている体勢でだけど、
朝晩、膝のストレッチを続けている。
つるちゃんの足の様子を 肌で感じることができ、
努力と効果のほどを、PTさんに誉められたこともある。

だけど、ベッド上では難しいなぁ。
おしっこの管や、点滴の針を抜いたら、一大事。



そこへ、
つるちゃんの主治医の先生が来られ、
6人部屋のそれぞれのベッドを覗かれた。

(あれ? 先生は、水曜日と日曜日はお休みじゃなかったっけ?)

「きのうより、呼吸が楽になったようですね」

先生は、頷くも、表情は固い。

 「PTさんに膝のストレッチを教わっているので、やっても構わないでしょうか?
   家では朝晩やっていたんです。
   点滴の入っている方の 足首は、止めたほうがいいですよね?」

先生は、頷かれて、
「そうですね。
 針がこの向きに刺さっていますから、こう動かすと抜けてしまうかもしれませんね」



主治医のお許しを得て、
かめこは、さっきより、しっかりストレッチを始めた。
まだ、膝の【拘縮】は進んでいないようだ。
なんだか希望が湧いた。 

そして、さっきまでより、
元気に声をかけた。


「つるちゃん、治れば家に帰れるからね」
「しばらく辛抱してね」
「きっと また歩けるようになるからね」
「がんばるんだよ」



今のつるちゃんのために、できることがあって、

かめこは とてもうれしい。



短冊に願い事

コメントとてもうれしいです、ありがとうございます。
記事の更新が先になってしまいましたが、後でお返事させていただきますね。


【2010/07/04 17:32】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(7) |
救急車で入院
7月3日土曜日朝、つるちゃんが救急車で運ばれ、入院した。
診断名は、「肺炎」と「腸閉塞」。
入院予定期間は3週間とのこと。


前日2日金曜日午後から、つるちゃんはショートステイ先にいた。

3日朝6時頃、
おむつ交換をしていたら、胃液まで嘔吐。
その後、酸素濃度が低いままだったので救急車を要請したとのこと。


病院に駆けつけると、
つるちゃんは処置中。
処置室の中から うめき声のような声がする。
「いつもの様子とは違いますね?」と問われて、覗くと、
うめき声の主は つるちゃんだった。
それは苦しそうに、肩を大きく上げ下げしてうなっている。

「お腹にガスがたまっています。
腸閉塞があるようなので、痛いのかもしれません」。
とドクター。


全ての検査の結果が出て、
脳には、アルツハイマー病によると思われる萎縮が見られるが、
脳梗塞などは起こしていない。

左右の肺に炎症が広がっている。特に左の肺は、ほぼ全体的に真っ白。
重症の肺炎。
呼吸困難の状態。


腸閉塞より、肺炎の方が命にかかわるということで、
「消化器科」ではなくて、「内科」に入院となる。


肺炎は、
通常は、1日の治療で(呼吸困難の状態を)脱するが、
重症なので、2,3日かかるだろう。
回復しない場合もある。

その場合、人工呼吸器をつけるかどうか、医師に尋ねられ、
「つけないと決めています。
 夫も弟とも、よく相談して、家族の考えはまとまっています」
と、かめこが答え、

治療方針は、「苦痛を取ることを、重視する」 と決まる。



午後になり、必要なものを届けがてら、つるちゃんを見舞う。

つるちゃんは横向きに寝かされて、酸素マスクをつけられ、
苦しそうにあえいでいた。
かめこが 顔を近づけ声をかけても、
息をするのが精一杯で、気づけない風。
でも、先ほどよりは、ずっと落ち着いている様子。
点滴治療が効いているようだ。


主治医の話では、
「肺炎の場合、入院期間は通常は2週間程度だが、
重症なので3週間を予定している」
とのことだった。

「腸閉塞については、あまり心配していない。
 肺炎が落ち着いてきてから対処する」とのこと。




それにしても、いつから肺炎なの?


急に気温が上がると、
つるちゃんはぐったりしたりもしてたけど、
ずっとというわけではなかったし、
かめこも兆候に気づけなかった。


9日には、肺炎球菌の予防接種を予定してたというのに。
遅すぎた。
もっと早くやっておけばよかった。



「重症の肺炎」と聞いて、
かめこはショックで 
いまもまだ混乱している。




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【2010/07/03 22:08】 | 肺炎で入院 | トラックバック(0) | コメント(11) |
プロフィール

かめこ

Author:かめこ
つるちゃんは、症状が出てから12年。
現在81歳。要介護5です。
家族は、つるちゃん・かめこ・かめこの夫
孫ミニーとデイジーは共に結婚して別居。
かめこは、乳がん手術を体験しています。
体力は無いけど、命の重さと自由の尊さを
知ってる人だと思います。

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