つるちゃんとかめこ
重い認知症になったつるちゃんは、娘のかめこを「お母さん」と呼びます。 かめこの愛と工夫に満ちたケアが、きょうも、つるちゃんの心に届きます。
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「お兄さん」に反応
10月5日、日曜日のおやつタイム。
つるちゃんの大好きな紅茶を入れたカップを
テーブルに置きながら、


これは、T(かめこ弟)のイギリス土産の紅茶よ。
と、何度か説明した。


つるちゃんは、無反応。



T君のこと、忘れちゃったの?
オットさまが、かめこに尋ねる。


ううん。単に名前に反応しないだけ。
名前は忘れちゃったかもね。
でも、本人を見て、分からなかったことは無いはずよ。
Tは特別なみたいだもの。
Tを見ると、ものすごく嬉しそうにするのよ。


(補足すれば、
過去に2ヶ月間位、
おそらく、誰の顔も分からなくなったであろう「時」があるんだけど、
その期間は、弟にはつるちゃんに会わないでもらっていた)




この紅茶は、お兄さんのお葬式のときに、Tが・・・
かめこは重ねて、紅茶の説明をしようとした。

でも、
 
「お兄さん」という言葉を、かめこが口にしたとたん

つるちゃんの表情が大きくゆがみ、泣き出した。


オットさまが言った。

感度いいね。


まさしく、そんな感じ。
つるちゃんは、
 
「お兄さん」という言葉に、
瞬間的に、反応し、
瞬間的に、亡くなったことを思い出し、
瞬間的に、悲しみに浸った。

そして、しばらく泣いていた。 




最愛の
(つるちゃんの頭の中では、家族の中で特別な存在だろうから)
息子の名前は、ピンと来なくても、
「お兄さん」
という言葉には、こんなに大きく反応する。
私たちより、「過去」が身近にあるのかもしれないね。 




(それにしても、今のつるちゃんらしい、素直で純粋な涙) 


つるちゃんは、お兄さんのことが、ほんとうに好きなんだね。
肉親が亡くなることって、とても辛いことだね。
これからもたまに、お兄さんの思い出話をしようね。




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【2008/10/06 23:59】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(8) |
つるは兄を忘れない
前記事からの続きです。

デイサービスから帰ったつるちゃんに、
約束通り、かめこは話した。


つるちゃんのお兄さんが亡くなりました。
一郎さん(仮)が亡くなったの。
これからお通夜だから、着替えて行きますよ。


つるちゃんは、
かめこが話し出したときから、うつむいたまま。

(やっぱりそうか。。。)
と、静かに受け止めたようだった。
着替えているときも、いつもより協力的で、
ミニーの結婚式の時には、
引きちぎってさせてくれなかった、パールのネックレスも、
付けさせてくれた。



タクシーの中で、
かめこは何回か話した。


お兄さんが亡くなったから、今からお通夜に行くのよ。

何回か話したのは、
つるちゃんがどこに行くか忘れたかもなんて、
かめこが考えたからではない。


(心の準備をしてほしい。
自分に、そのことを、言い聞かせてほしい)

と思ったから。
(今はそのための、大事な時間なんだ)

つるちゃんは、その度に、しっかり頷いてくれた。



お通夜の式場に着いた。
タクシーを降りて席に付くまでのアプローチが、とても楽。
車椅子の人も出席しやすい設計だった。



かめこの隣に、車椅子に座ったつるちゃん。
身体を右に傾けて、
首をふったり手を動かしたり、
いかにも落ち着きがない。
とても緊張している。

それが、お焼香を終えて席に戻ってからは、
落ち着いた様子だった。(つるちゃんは前に出ただけ)




帰りのタクシーの中でも、家に戻ってからも、
つるちゃんは普通にしていた。
あすの告別式に行くことをわかっていて、
まだ、少し緊張しているようだった。



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【2008/09/07 17:03】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(14) |
つる、兄とのお別れ
8月。
つるちゃんの大事なお兄さんが亡くなった。


訃報を受け、かめこは、
つるちゃんをお通夜と告別式に連れて行くことを即決する。
お兄さんと、きちんとお別れをしてもらう。
そのことに、迷いはない。



問題は、
それをどう話し、つるちゃんの哀しみをどう受け止めるか。



お通夜は、
デイサービスの日の夜。
デイには、通常通り行ってもらうことにする。
だから、お兄さんが亡くなったことを話すのは、
デイから帰ってからに決める。



お通夜の前日夕方。
喪服代わりになる、黒いシャツとズボンを試着してもらう。
ヘルパーさんとふたりで、
何気なく、
ただ新しい服を買ってきた、という雰囲気を作るけど、
つるちゃんは察したふう。
様子がなんだか落ち着かない。

それはそうだ。
着せられてるのは、それらしい〝黒〟。
上品なフリルまで付いている。
その上、
かめことヘルパーさんの会話には、
気になる〝言葉〟がチラチラ。



(ああ、
自分の身近な誰かが亡くなったんだ、ということに、
つるちゃんが気づいたわ。)


つるちゃん、もうわかったと思うけど、
そのことは、
あした、「そよ風」(仮)から帰ってきてから、必ず話します。
それまで、気になると思うけど、普通にしていてください。



かめこが、心を込めて話したら、
つるちゃんは、
しっかりうなづいた。



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【2008/09/04 12:11】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(10) |
夫の遺影に
4月2日は、かめこの父つるちゃんの夫の祥月命日。
その年の桜が満開になった頃に、父は旅立った。



あれから7年が経ち、
今年も桜の季節が来て、
かめこは、父の話をつるちゃんにするようになった。

夜、寝る前に、庭でゴルフをしている写真を見せ、

もうすぐ命日よ、と話す。
つるちゃんは、うなづいて、写真に見入る。

すると、翌朝、
目覚めたとたん、つるちゃんは泣き出すんだ。
前夜話した朝は、いつも決まって。
命日当日の2日の日は、

おとうさん、ってつぶやきながら、
一番長いこと泣いていた。


良かった。つるちゃんは夫を覚えてる。



思い出してあげることが、一番の供養になるのよ。
四郎さん(仮)、きっと嬉しいと思うわ。


つるちゃんが泣くと、かめこは、そう話した。                                            
                                  
                              夫の写真
                                                                                                             
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【2008/04/04 11:03】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(14) |
七回忌の法要
5月12日(土)
つるちゃんのご主人の七回忌の法要が執り行われた。


父の菩提寺は、豪徳寺。
井伊直弼の菩提寺として有名で、
また、「招き猫」(招福猫)の発祥の地でもある、大きな寺だ。


タクシーの中で、何度も

豪徳寺に行きますよ。 と言ったら、
つるちゃんは、その度に大きく頷いてた。

つるちゃんは、「豪徳寺」 を覚えてる。


豪徳寺前


出席者は、かめこの弟家族と、かめこの家族。

息子を見た時の、つるちゃんの喜びよう!
やっぱり違う。こんな顔、なかなかしないもん。


寺の玄関で、車椅子が用意され、
なんと、本堂まで、若いお坊さんが押してくれた。
それはそれは慣れた手つきで。

つるちゃんに、

しっかり、ここ(肘掛)に 手を載せていてくださいね。
なんて、声をかけてる。


焼香 お焼香は、  つるちゃんが
 つまんだり指を放したりできないから、
 手につかまってもらって、
 かめこが代わりに行った。


お経の間は、首を振ったりはしてたけど、
静かにしていられた。
つるちゃんは、何をしてるか、分かってた。

お経が終わって、

これから、お墓に行きますよ。 
と、かめこが声をかけたら、
久しぶり って、つぶやいた。

つるちゃんは、お墓参りが久しぶりなのを、分かってた。
(四郎さんの墓参りは、一周忌以来。)


墓参り   お墓の石段は高いけど、
     頑張って上ってもらった。
   つるちゃんが元気なところを、
     四郎さんに見てもらった。

   つるちゃんは、泣かなかった。
   でも、確かに、
   きょうの意味を分かってた。

「可愛家代々の墓」左下に位牌と遺影


お父さん、あれから6年も経ったんですね。
お母さんは、この通り元気ですよ。
辛いこともあると思うけど、結構うまくやってます。
どうか安心して、見ていてくださいね。

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【2007/05/14 14:27】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(28) |
もう直ぐ法要
月曜日の朝、
シャワー室でつるちゃんのおしりを洗っている時、

お母さん、シャワーかけますよ。 って言ったら、

つるちゃんが、顔を上げて、


おかあさん(だってぇ) って、すごく良い顔をして、
かめこの顔を見て笑った。

それで、

娘のかめこですよ って、言ったら、

思い切り頷きながら
、 そう!  って言ってくれた。

つるちゃんが、あんまり嬉しそうだったので、
かめこも、とても幸せな気分になった。




それは、
かめこが、つるちゃんのことを、
 『お母さん』 って呼ぶことにした日から、
4日経った朝の出来事だった。



まだ、かめこは慣れてなくて、 
つるちゃ・・じゃなくて お母さん。
なんて、時々呼んじゃってるんだけど。。。



つるちゃんは、息子(かめこの弟)のことも、良く覚えてる。


それで きょうは、
弟君は結婚して、子どももいるのよ。
小学生になってるよ。
 と、話した。

そして、

もう直ぐ、一緒に 四郎さん(仮)の七回忌でお寺に行くからね。
と、話した。


つるちゃんは、頷いてくれた。




りぼん
いよいよ今週の土曜日が、父の七回忌の法要だ。

つるちゃんの装いは、

元々持ってる、バーバリのブラウスと真珠のネックレス。
今、普段着に着てる、ブルーグレーのスラックス。

(色味・色調は、写真左の方が本物に近いです。)

グレーかなんかを、新しく買おうかとも、思ったんだけど、
つるちゃんが、気に入ってたものが、一番いいかな、って、思って。。。
四郎さんも、喜んでくれるよね? 


装い 10  border=



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【2007/05/08 18:31】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(14) |
夫は今、胸の中に
先月19日に、ショートから帰ってきてから、
つるちゃんの意識が、一段とはっきりしてきた。
かめこの弟の名前を、自分から口にしたのは、
ショートステイ先に、訪ねてくれたことを覚えている、ってことだね。


それから1週間近く、つるちゃんの様子を見てた。

うんうん、落ち着いてる。今なら大丈夫。 


咲き始めた桜の花の下で、父の名前を言ってみた。
つるちゃんは、名前を聞いただけで、
力のこもった泪目で、かめこを見つめた。 
   
       大事な人なのよ。 っていう、サインだった。


つるちゃんは、夫を、しっかり覚えてる。


川沿いの、見事に咲いた桜の下を通る度に、
かめこは、父の名前を口にした。

つるちゃんの反応は、その度に、同じだった。





4月2日。

夕方、ヘルパーさんが帰ってから、
小さなアルバムの、父の写真を見せた。


四郎さんでしょう つるさんのご主人でしょ
ほら、ゴルフしてる。
二人で旅行、たくさんしてたね。
この写真は、初詣でお寺に行った時。



つるちゃんは、最初に写真を目にした瞬間、
目を潤ませて、例の顔をした。

             (私の大事な人なの。)

そのあと、
目を細めて、写真を見入ってた。




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【2007/04/05 12:02】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(32) |
夫の死を知る日
2005年3月26日。
夕食の仕度をしていた、かめこのところへ、
つるちゃんが、近づいてきた。
どうやら話があるみたい。



主人は、どこですか。


それは、
つるちゃんが夫を亡くしてから、あと1週間で、丸4年になろうと言う日だった。



つるちゃんの問いかけは、唐突だった。
その真剣な眼差しを見て、かめこは緊張した。



四郎さん  (仮。父は4男なので) のことですか 


はい。





かめこは、黙ったまま、
つるちゃんの手を引いて、
いつもは入れないようにしてある、奥の和室に連れて行った。
その部屋の、続きの小さな洋間の整理ダンスの上に、
仏壇が置いてあって、

仏壇の後ろの壁には、父の遺影がかけてある。


かめこは、つるちゃんを仏壇の前に立たせ、
遺影を指して、言った。



あれがなんだか、分かりますか 



・・・はい。



つるちゃんは、涙を浮かべていた。
全てを悟った顔だった。


そして、静かに、ゆっくり、つぶやいた。




知らなかった。かわいそうに。



かめこは、黙ったまま、仏壇のろうそくに火を点し、線香をろうそくに傾けた。

そして、
左手でつるちゃんの手をつなぎ、
もう片方の手で、
仏壇に線香を供えた。


つるちゃんは、泣き続けていた。





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【2007/04/03 11:53】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(20) |
夫の存在を消した日
4月2日は、かめこの父の祥月命日。
2001年平成13年に亡くなったので、今年が七回忌に当たる。



父は、自身が大動脈瘤を抱えていることを知りながらも、
前日の午前中まで、普段どおりに暮していた。
              妻であるつるちゃんを、それはそれは気遣いながら。



その日夕方、6年前の4月1日。
具合の悪くなった父を、かめこが病院に連れて行った。
タクシーが病院に着いて、一歩降りたとたん、
その場に崩れ去った父。
もう、時間は残されていない。


夜になり、
集中治療室の父の枕元に、家族が集められた。
つるちゃんと、かめこの弟とかめこの家族が、父を囲む。


もう、くたびちゃった。
お母さんを頼む。




父は、その翌朝、旅立って行った。
満開の桜に見送られて。




つるちゃんは、夫の枕元で、顔色を変えなかった。
何も目に入らない様子だった。
翌朝、亡くなったと聞いても、反応がなかった。
通夜の席でも、告別式でも、
言われた通りに動いてはいたが、
誰の葬式なのか、関心もない様子だった。


つるちゃんは、夫の死を、認識できなかった。



その後、

つるちゃんの暮らしぶりは、
夫のいる朝と変わらなかった。


紅茶とトーストとリンゴの簡単な朝食の仕度は、
自然に一人分になっていた。


まるで、初めから一人暮らしのようだった。


夫のことは、
一言も、言い出さなかった。

写真を見せても、
知らない男の人、だと言い続けた。

つる一家4人の写真には、
知らない人がいるから、家族ではない、と言っていた。




2001年4月1日、夜。

死を前にした夫を見て、

つるちゃんは、その人の存在自体を消してしまったのだ。




それは、

ただ、忘れてしまった、 というのとは、 

違う。




その人を亡くす時を、

経験せずに済むように、



存在自体を、


心の奥底に、封じ込めたのかのように、


かめこには、見えた。 





関連記事:「父の命日」
http://turukameko.blog44.fc2.com/blog-entry-88.html
「つるがおかしい」
http://turukameko.blog44.fc2.com/blog-entry-90.html

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【2007/04/01 11:53】 | 夫の死、兄の死を乗り越える | トラックバック(0) | コメント(26) |
プロフィール

かめこ

Author:かめこ
つるちゃんは、症状が出てから12年。
現在81歳。要介護5です。
家族は、つるちゃん・かめこ・かめこの夫
孫ミニーとデイジーは共に結婚して別居。
かめこは、乳がん手術を体験しています。
体力は無いけど、命の重さと自由の尊さを
知ってる人だと思います。

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